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麦藁帽子
- Narrated by: 斉藤 範子
- Length: 29 mins
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Summary
<内容紹介>
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
温泉のある海村へやって来て二日目、散歩に出た斧田は、大きな古い麦藁帽子をかぶって、釣りをしている老人と出会う。
「何か釣れるのかね」
と声を掛けると、愛想のいい笑いをしながらべらを釣っているのだという。
翌日も老人は同じ場所で釣りをしていた。昨日に続いて斧田は老人に話しかけた。その話の中で、老人は自分の家の下男だった吾八の話をする。吾八は猿の祟りで崖から墜ちて白痴になってしまったという。そして、自分の被っている麦藁帽子が、嫁になるはずだった娘が嫁ぐ前にくれたものだという話など諸々の思い出話を聞かせるのだった。
しかし、宿に帰ると女中から、その老人こそがその吾八で、彼の話はみんな嘘の作り事だというのだった……
<山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)>
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。